1629年1月12日、米沢の地で53名の信徒が殉教しました。上杉家家臣、ルイス甘糟右衛門をはじめとする、男性30名、女性23名、内5歳以下の幼児9名が斬首されました。
年に数回しか司祭が訪問しない米沢の地で、ルイス甘糟右衛門や信徒たちは自らで信仰を学び、教え、組織し、信徒の数は3000人にもなったと言われています。
この方々は信徒でない人々からの尊敬と信頼を受けており、牢に入れられないどころか、処刑の前には執行役の侍が信徒宅を訪問し、酒を酌み交わしたとのことです。さらに、処刑を見に来た人々に対して奉行が「ここで死ぬ者は信仰のために生命を捨てる身分の高い人であるからみんな土下座するように頼んだ」とのことです(『米沢の殉教者』結城了悟)。こうしたエピソードは、殉教者たちの普段からの生き方が、周りの人々から尊敬され、愛されるものであったことを示すものでしょう。
どうか私たちが、今、日々の生活の中で信仰を生き、福音を証ししていくことができますよう、殉教者たちの取り次ぎを求めましょう。以下は2008年に新潟教区で実施された殉教者特別年に出された祈りです。
新潟教区殉教者特別年の祈り
すべての人の命の与え主である父よ、
ペトロ岐部と一八七殉教者の列福にあたり、感謝して祈ります。
殉教者たちは主キリストへの愛を生き抜くため、
この世の苦しみや労苦にも屈せずその身をもって福音の証となり、
殉教の死を遂げられました。
またあなたは新潟教区の信仰の模範として、米沢の地にルイス甘粕右衛門を始め五三名の信仰のあかし人を与えてくださいました。
命も信仰もあなたから頂いたもの。
あなたの慈しみ深い計らいに感謝いたします。
この地にあって不屈の精神で信仰を守り、
その生き方を通じて多くの人から尊敬を受けた米沢の殉教者たちが
生涯をかけて証しした福音を、
今の時代に同じように伝えていく使命が私たちに託されています。
かりそめの豊かさに満足する現代社会にあって
殉教者にならい福音を証しできるように、勇気と力を与えてください。
新潟教区に住むすべての人に、キリストの福音をもたらすことができるように、聖霊の助けをもって導いてください。
私たちの主イエス・キリストによって。
アーメン。
- 写真は新潟教会聖堂のステンドグラス。
- 米沢の殉教についての本です。2009年、新潟教区が殉教者の列福に際して発刊しました。https://www.donboscosha.com/product/2867