2024年 年頭司牧書簡 / ねんとうしぼくしょかん

2024年 年頭司牧書簡:Microsoft Word / pdf

2024ねん ねんとうしぼくしょかん ふりがなつき:Microsoft Word / pdf


2024年 年頭司牧書簡

「ともに交わり、宣教し、参加する教会共同体」

 

新潟司教 パウロ 成井大介

 

 新潟教区の皆様、主の御降誕のお喜びと、新年のご挨拶を申し上げます。年の初めにあたり、皆様の上に神の豊かな祝福がありますように、また世界の平和のためにお祈りいたします。

 今年、新潟教区では二つの大きな新しい取り組みが始まります。宣教司牧方針と、新たな地区割りです。この年頭 書簡で、これら二つのことについて紹介したいと思います。

 

宣教司牧方針

 新潟教区はこれまで、2012年に教区設立100周年を祝って出された教区宣教宣言の中で挙げられた三つの優先課題を宣教司牧の柱としてきました。この三つの優先課題と自分の取り組みを書く欄のあるカードをお持ちの方も多いと思います。それから10年以上が過ぎ、社会も、教会も大きく変化してきましたが、新潟教区も例外でないことは皆様よくご存じのことと思います。こうした新たな状況に対応するために、2021年、新潟教区として宣教司牧方針を作ることが決められました。時を同じくして全世界の教会でシノドスの歩みが始まり、宣教司牧方針の策定作業はこの歩みと並行して進められました。教会と奉献生活者の共同体において、これまでの優先課題のふり返り、現状を踏まえた宣教司牧方針作成のための分かち合いが行われ、その結果をもとに宣教司牧評議会で話し合い、この度宣教司牧方針が完成しました。コロナ禍の直中であったにもかかわらず、多くの皆様が取り組んでくださったことに心から感謝いたします。皆様の分かち合いから生まれたこの方針が、わたしたちがともに歩んでいくための良い道具となることを確信しています。

 この宣教司牧方針は、教会の本質を表す「神の言葉を告げ知らせ(宣教)」、「秘跡を祝い(典礼)」、「愛の奉仕を行う(奉仕)」という三つの務め(回勅『神は愛』25)に共同体として取り組んでいくための姿勢を示すものです。その姿勢を、シノドスのテーマ、「交わり、宣教、参加」という、教会共同体が神に向かってともに歩んでいくための三つの柱に分けて表しています。

  • ともに交わりを大切にする共同体
    すべての信者とキリストに従う人々がキリストに招かれた共同体のメンバーとして大切にされる共同体を目指す。
  • ともに出向き宣教する共同体
    イエスのもたらした福音を人々に伝え、また神が望まれる社会の実現のためともに歩む。
  • ともにつながり参加する共同体
    誰もがそれぞれの置かれた場、方法で福音を生き、柔軟に教会の営みに参加する共同体を目指す。

 詳しくは宣教司牧方針冊子を読んでいただけたらと思いますが、それぞれの柱にはその基本的な理解についての説明と、皆様から寄せられた具体的な取り組みの例が挙げられています。具体例はすべての共同体で行わなければならないことではなく、あくまで例です。まず今年は、各共同体で宣教司牧方針を読み、自分たちにとって何が大切なのか分かち合い、それぞれに合った取り組み計画を作成することから始めてください。3年後の2027年をふり返りの年とし、小教区や奉献生活者の共同体、地区、委員会といったレベルで取り組みを見直したいと考えています。

 宣教司牧方針は冊子版、カード版、A4版を作成しました。冊子とカードはすべての信者の手に渡るようご協力ください。カード版とA4版は身近に目にすることができるように作成したものです。カード版には自分の取り組みを記入する欄がありますので、ご活用ください。そして、宣教司牧方針A4版を、教会の入り口や信徒会館などに常時掲示してくださるようお願いします。宣教司牧方針は、英語版、ベトナム語版、ふりがな付きの日本語版と通常の日本語版が教区のウェブサイトからダウンロードできますので、必要な方に印刷して配布してくださるようお願いします。

 

新たな地区割りについて

新潟教区における地区は、以前、秋田地区と新発田地区は神言会、山形地区はイエズス・マリアの聖心会、長岡地区はフランシスコ会、そして新潟地区は教区司祭が担当するという形で割り振られていました。しかし現在は、新発田地区は教区司祭が受け持つようになり、山形地区にはイエズス・マリアの聖心会に加えて神言会会員が派遣され、そして長岡地区は上越の教会を除き教区司祭が担当しています。また、市町村合併によりこれまでの地区割りに不都合が出てきました。例えば新発田地区の栃尾教会がある栃尾市は、長岡地区の長岡市に合併されました。前教区長、菊地司教様(当時)は2016年、新潟県の3地区に対して何らかの再編成が必要かどうか尋ねる手紙を出し、各小教区、地区で話し合いが行われましたが、翌年菊地司教様は東京大司教に任命されたため、検討は進みませんでした。そこで今回、改めて宣教司牧方針策定のための分かち合いを通して地区の役割と地区割りについて皆様から意見をいただき、地区や司祭評議会でも話し合っていただきました。寄せられた意見を参考にし、役割と地区割りを決定いたしましたのでお知らせします。

 

地区の役割について

 地区の再編成を行うにあたり、何よりも大切にしたのは、地区の役割をはっきりとさせることです。修道会と教区司祭の司牧地域という形で始まった地区ですが、教区としてともに歩んでいくためには共通の役割が示されなければなりません。そこで、この度の話し合いを踏まえ、主に以下の三つを新潟教区の地区の役割と致します。

養成:臨時の聖体奉仕者、カテキスタなど、信徒リーダーの養成、一般的な信徒養成、小教区共同体養成など

交流:地区大会、地区内の教会巡礼、地区子ども錬成会など

協力:司祭のミサ司式ローテーション、黙想会の共同開催、合同教会学校など

 なお、これまで司祭が中心になって運営されてきた地区もありますが、今後はシノドスの精神を生かし、小教区における評議会のように、司祭と信徒の代表がともに地区運営に関わるようお願いします。

 

新しい地区割り

 上記役割や現在の行政地区、交通の便などを踏まえ、新潟教区の地区割りを以下の通りに変更いたします。秋田地区、山形地区に変更はありませんが、新潟県が下越、中越、上越の3地区に再編成されました。それぞれの地区に、新潟、長岡、高田という大きな共同体が入っています。これまで育んできた人間関係や組織体制を変えるのは大変なことだと理解していますが、社会と教会が変化する中で始まるこの新しい地区割りに、ともに、前向きに、取り組んでいけたらと願っています。なお、新しい地区割りは2024年4月1日より実施され、地区長もそれに合わせて新たに任命されます。

秋田地区:大館、鹿角、能代、土崎、秋田、本荘、横手、上宿[集]

山形地区:酒田、鶴岡、山形、新庄[巡]、米沢、長井[巡]

下越地区:新発田、村上[集]、新潟、佐渡、花園、鳥屋野[分]、青山、寺尾、白根、新津、村松[巡]、亀田

中越地区:加茂、三条、見附、栃尾、長岡

上越地区:十日町、柏崎、直江津、高田、妙高[巡]、糸魚川

 

近隣教会との連携について

 今回、地区の役割について意見をうかがう中で、より狭い地域での連携、近隣教会の協力についても意見をいただきました。子どもが少なくなってきた今、隣の教会と一緒に教会学校を行う教会があります。待降節や四旬節の黙想会を隣の教会と行うこともあります。他の教会と交わり、協力することで、新しいアイディアが生まれ、活動が活発になることもあるでしょう。また、複数の司祭がローテーションで複数の小教区のミサを担当する取り組みも増えています。こうした中、今回地区の中に二つ、三つの教会でつくる「ブロック」というグループを新たに設ける案が出ましたが、これについてはまず2025年末までの2年間、それぞれの教会で近隣教会との交わりと協力を深めていただき、改めて皆様の意見を伺ってから検討したいと思います。

 

希望を持って

 宣教司牧方針の冊子の最後に、希望のメッセージを載せました。聖霊の働きに信頼し、小さな一歩一歩をともにしていくことで、希望が生まれます。めまぐるしく変化する社会の中にあって、変わることを恐れず、失敗を恐れず、片足を上げて前に一歩踏み出しましょう。

今年、わたしたちは32名の秋田の信徒が殉教してから400年目を迎えます。新たな歩みを始めるわたしたちは、殉教者に倣い、神への信頼と人々への奉仕に共同体として取り組む思いを新たに致しましょう。神の祝福を祈っています。

なお、宣教司牧方針に新潟教区の祈りを新たに作成し、掲載しました。カードにも載せましたので、個人で、また様々な集いでお祈りください。

 

 すべてのものを造り、救いに招かれる神よ、いのちの賜物に感謝して祈ります。

 秋田、山形、新潟で様々な背景をもって生きるわたしたちを、あなたの愛のうちに一致させてください。あなたの福音を受けたわたしたちが、ともに交わり、ともに宣教し、ともに参加する共同体としてあなたを賛美し、被造物との調和のうちに、人々のあいだであなたの愛をあかししていくことができますように。

 わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。