新潟教区の皆様
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について
小さな人々を大切にされたイエスに倣い、子どもや自分を守ることが難しい人々を支えるカトリック教会にあって、こうした人々に性的虐待を加えるなどと言うことは決してあってはならないことです。しかし残念ながら教会には聖職者や修道者による性的虐待の被害に遭われた方が多くおられます。私たちはキリストによって一つにされた教会共同体として、罪を認め、痛みに寄り添い、愛のうちに祈りまた行動し、このようなことが起こらない組織として成長していかなければなりません。
教皇フランシスコは2016年、世界の司教たちに向けて、毎年特定の日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」として定め、祈りと償い、被害者の痛みを学ぶ機会とするよう呼びかけました。日本の司教団はこれに応え、毎年四旬節の第2金曜日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」と定め、2017年から実施しています。今年は3月5日がこの日に当たります。新潟教区としては、以下の5点を実施していきたいと考えておりますので、各小教区、修道院での対応をお願いいたします。
なお、昨年新潟教区は「聖職者による性虐待について」と題する宣言文を発表いたしましたが、教区に所属するすべての皆様にこの問題について意識していただくため、教区ハラスメント対応委員会に諮った上でタイトルと内容を一部改訂しました。教区全体で、このような問題が起こらないように取り組んで参りましょう。
- 宣言文「カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言」を四旬節の間掲示してください。
- 3月5日直前、または直後の日曜日に、教皇の意向に従いすべての小教区と修道院でミサを捧げてください。なお、奉献文は「ゆるしの奉献文」を用いてください。そして、「カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言」を一緒に唱えて下さい。
- ミサの前後、または最中に教皇庁児童を守るための委員会作成の祈りを唱えてください。
- ハラスメント相談窓口のカードが教会においてあることを確認してください。
- 司祭、修道者の皆様は日本カトリック司教協議会発行のマニュアル、『教会が子どもの権利を守るために』を四旬節の間に今一度読み直してください。
2021年2月5日
新潟教区 司教
パウロ成井大介
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」教皇の意向
- 教会のメンバーによって、また家庭や教育現場において行われた、子どもへの性虐待の罪について、神からのゆるしを願うこと。
- これらの重大な犯罪が、教会のメンバーによって行われたことを公に認めること。
- 教会の権威者たちが、虐待の加害者を秘匿し、被害者の痛みを無視した罪について、神のゆるしを願うこと。
- 被害者のケアをする責任は、教会のメンバーとしてすべての人におよぶことを、皆が認識できるよう恵みを願うこと。
- 被害者とその家族のために神のいやしと支えを願い、教会がその人々の内的いやしと和解の歩みに有効に寄り添うことができるよう祈ること。
- 虐待の被害者から何らかの反応があった場合、特別な司牧的な配慮をもってすぐに応えるようにすること。
共同祈願例文(カトリック中央協議会 子どもと女性の権利擁護のためのデスク)
- いつくしみの主である神よ、教会に集う私たちが、被害に遭われた方の痛みに寄り添い、共に癒しの道を歩めるよう導いてください。
- 加害者が謙虚にその過ちを認め、被害に遭われた方とその家族に誠実に謝罪することができるよう、光と力をお与えください。
- 仕えるために来られたキリストに従い、人々への奉仕の道を歩むことを選んだ聖職者たちが、その使命を全うすることができるよう導いてください。
- 神の民である私たちが良心に目覚め、弱い立場におかれている子どもや大人を守り、連帯し、キリストの福音を告げる使命を全うすることができますように。
性的虐待被害者のための祈り(教皇庁児童を守るための委員会 新潟教区私訳)
天の父よ、あなたは、あなたのすべての子どもたち、特に最も小さく弱い子どもたちを愛し、心にかけておられます。性的虐待を受け、信頼と純真の心を傷つけられてしまった、自分を守ることのできない多くの子どもと大人たちをあなたに委ねます。私たちが彼ら、彼女らの苦しみの叫びに耳を傾け、損なわれた多くの人生に寄り添い、責任ある行動を取っていくことができますように。
被害を受けた方々が、仲間や家族からの理解と支えを受け、あなたの恵みによって傷が癒やされ、平安に生きることができますように。
聖霊の交わりの中で、あなたとともに世々に生き、罪を除いて私たちと同じ弱さを身にまとわれた御子、私たちの主、イエス・キリストによって。アーメン。