2025年2月21日
カトリック新潟教区の皆様
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について
主の平和
教皇フランシスコは、2016年に「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設定し、祈り、償い、被害者の痛みを学ぶ機会とするよう、世界の教会に呼びかけています。日本の教会では毎年四旬節の第2金曜日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」(以下、「祈りと償いの日」)と定め、新潟教区ではその前後の日曜日に共同体でともに祈り、意識を深める取り組みを行ってきました。昨年は、教区ハラスメント対応委員会がテーマを定め、それについて各共同体で分かち合っていただきました。また、6月の司祭の集いでは中央協議会の担当者にお願いし、「ハラスメントの加害者になりえるわたしたち」という内容で研修が行われました。聖年を祝う今年の取り組みは、自らをふり返り、神が望まれる共同体をともに目指すための良い機会となるでしょう。引き続きこの問題について皆が自分事として受け止め、歩みを進めていきたいと思います。
今年は、新潟教区として、以下の5点を実施していきたいと考えておりますので、各小教区、修道院での対応をお願いいたします。
1.「カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言」を四旬節の間教会に掲示してください。
2.3月21日 直前、または 直後の日曜日に、教皇の意向に従いすべての小教区と修道院でミサを捧げてください。なお、奉献文は「ゆるしの奉献文」を用いてください。そして、共同祈願または拝領祈願後に「カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言」を一緒に唱えて下さい。
3.ミサの前後、または最中に教皇庁未成年者保護委員会作成の祈りを唱えてください。
4.ハラスメント相談窓口のカードが教会の誰もが手に取ることのできる場所に常時おいてあることを確認し、ミサのお知らせの時間にカードの紹介をしてください。
5.添付の、新潟教区ハラスメント対応委員会からの「小教区での分かち合いのお願い」に取り組んでください。
カトリック新潟教区 司教
パウロ成井大介
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について 印刷用(PDF)
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」教皇の意向
1.教会のメンバーによって、また家庭や教育現場において行われた、子どもへの性虐待の罪について、
神からのゆるしを願うこと。
2.これらの重大な犯罪が、教会のメンバーによって行われたことを公に認めること。
3.教会の権威者たちが、虐待の加害者を秘匿し、被害者の痛みを無視した罪について、神のゆるしを願うこと。
4.被害者のケアをする責任は、教会のメンバーとしてすべての人におよぶことを、皆が認識できるよう恵みを願うこと。
5.被害者とその家族のために神のいやしと支えを願い、教会がその人々の内的いやしと和解の歩みに有効に寄り添うことができるよう祈ること。
6.虐待の被害者から何らかの反応があった場合、特別な司牧的な配慮をもってすぐに応えるようにすること。
共同祈願例文(カトリック中央協議会 子どもと女性の権利擁護のためのデスクの祈り参照)
いつくしみの主である神よ、教会に集う私たちが、被害に遭われた方の痛みに寄り添い、
共に癒しの道を歩めるよう導いてください。
加害者が謙虚にその過ちを認め、被害に遭われた方とその家族に誠実に謝罪することができるよう、
光と力をお与えください。
仕えるために来られたキリストに従い、人々への奉仕の道を歩むことを選んだ聖職者たちが、
その使命を全うすることができるよう導いてください。
神の民である私たちが良心に目覚め、弱い立場におかれている子どもや大人を守り、連帯し、キリストの福音を告げる使命を全うすることができますように。
司教、司祭、修道者、信徒すべてが、キリストに結ばれた共同体として、互いの尊敬のうちに歩んでいくことができますように。
教皇庁未成年者保護委員会 性虐待被害者のための祈りII
(子どもと女性の権利擁護のためのデスク 意訳)
天の父よ、あなたは、すべての子どもたち、とりわけ最も小さく、弱い立場におかれた子どもたちを愛し、心にかけておられます。
性的虐待によって、信頼と純真な心を傷つけられた多くの子どもたち、そして弱い立場におかれた成人の方々を、あなたの豊かな慈しみによっておまもりください。
私たちが、傷つけられた多くの方の苦痛の叫びに耳を傾け、責任ある行動をとっていくことができるよう支えてください。
被害を受けた方が、身近な人々や家族からの理解と支えを見出し、また、あなたの恵みと慈しみによって癒やされ、平安のうちに歩むことができますように。
わたしたちの主、イエス・キリストによって。アーメン。
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」教皇の意向 印刷用(PDF)
カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言
私たちカトリック新潟教区は、神からの賜物であるいのちを与えられたかけがえのない存在として、すべての人はその人格の尊厳が尊ばれることを深く認識し、あらゆる形のハラスメントによって、他の人の人権を侵害する言動を行わないことを決意します。またハラスメントを防止するための配慮と不断の努力を行うことを宣言します。
カトリック教会にあって、とりわけ聖職者には、いのちを守るために最善を尽くす義務があります。残念ながら、その模範たるべき聖職者が、ハラスメントの中でも、特に性虐待という他者の人格を辱め蹂躙する行為におよび、いのちの尊厳をおとしめる事例が多数あることが明らかになっています。なかでも保護を必要とする未成年者に対する性虐待という、卑劣な行為を行った聖職者も存在しています。
加えて司教をはじめとした教会の責任者が、聖職者の加害行為を隠蔽した事例も、世界各地で多数指摘されています。
日本の教会も例外ではなく、聖職者から性的な虐待を受けた事例があります。とりわけ被害者が未成年や子どもであった場合、深い苦しみと大きな葛藤のなかで、何十年も経ってからはじめて、その事実を公にできたという方もおられます。
そのような深い苦しみと大きな葛藤を長年にわたって強いてきた聖職者の加害について、被害を受けられた皆様に、心からお詫びいたします。
新潟教区では、2012年11月に宗教法人としての「ハラスメント防止基本宣言」を策定し、その後2017年に、「教区ハラスメント対応委員会」を発足させました。さらに準備を進めて、2019年に相談のための窓口を設置いたしました。
わたしたちは、すべてのいのち、とりわけ弱い立場にある人々を大切にする教会共同体の実現を目指して、防止と啓発の取り組みを続けます。
新潟教区ハラスメント対応委員会
2025年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」
小教区での分かち合いのお願いとテーマ
今年、皆様にお願いしたい分かち合いのテーマは、「言葉による暴力」です。言葉は、セクシャルハラスメントに限らず、さまざまな場面においてハラスメントを引き起こす危険があります。教会も例外ではなく、私たち一人ひとりが被害者にも加害者にもなりえます。
今回、カトリック中央協議会「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」の協力を得て、分かち合いのガイドを作成しました。分かち合いの始めに、参加者で一緒にお読みいただき、枠線内のテーマについて分かち合いをお願いします。
分かち合いは、小教区評議会のメンバーや任意のグループで自由なかたちでお願いしたいと思います。分かち合いの呼びかけ期間は、2025年3月21日(金)(性虐待被害者のための祈りと償いの日)~6月1日(日)(主の昇天)です。
なお、小教区の状況で分かち合いの機会を設けることが困難な場合、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」のミサが捧げられる際に、別紙「分かち合いのガイド」を配布する等、信徒の皆さんに今回のテーマについてご紹介ください。
分かち合いの結果は以下の要領で6月8日(日)を目途に教区本部事務局までお知らせください。今後の活動に役立てたいと思います。
1.教会名
2.分かち合いを行ったのはどのようなグループでしょうか。
(小教区評議会?任意のグループ?)
3.参加した人数は?( 名)
4.分かち合いの時間は?( 分)
5.分かち合った内容や参加者の感想をお知らせください。( )
6.来年以降の分かち合いのために、相応しいテーマがありましたら教えてください。( )
ご協力をよろしくお願いいたします。
小教区での分かち合いのお願いとテーマ 印刷用(PDF)
2025年 性虐待被害者のための祈りと償いの日 分かち合いのガイド
<暴力の加害者になりえる私たち-言葉による暴力のケース-> 教会は、誰にとっても安心・安全な場所。暴力とは無縁の、愛と祈りにあふれた場所。 教会の中で、(こんな言われ方をして)傷ついてしまった、 下の説明を読んで感想を話し合ってみましょう。 |
ハラスメントとは
ハラスメントとは、相手が不快に思い、相手が自身の尊厳を傷つけられたと感じるような発言・行動のことを指します。たとえ相手を「傷つける」「いじめる」という意図がなくても、相手が不快な感情を抱けば、ハラスメントは成立します。ですので、ハラスメントの加害者は、自分の発言や行為がハラスメントであると認識していない場合がほとんどです。
教会で傷ついた言葉の例
・日頃のコミュニケーションの中で
「信者は○○であるべき」 「当然○○な筈なのに」 「洗礼を受けるのが早かったね」
「信者としての経験が浅いから…」 「教会では許されていない」
「あなたがやることじゃないでしょ」 「あの人 きちんと教会に来ていないでしょう」
「聖職者には従順であるべき」 「我慢して頑張って立派ですね」
「苦労や苦しみもお恵みですよ」 「責任を果たしあわなければ教会は成り立たない」
(「相手の事情を考慮しない、教会の掟や決まりの一方的な強調」「自分の信仰理解や教会観、価値観の押し付け」「無自覚な偏見や思い込みから発せられた言葉」「相手に沈黙を強いる言葉」)
・ハラスメントの被害者に対して
「あの人がそんなことをする筈がない」 「どっちも悪い」 「許しなさい」
「祈りましょう」 「神様は乗り越えられない試練を与えない」
「いつも派手なかっこうして…」 「スキがあったんじゃない?」
「あなたはどうして逃げなかったの?」「早く忘れましょう」
「気にしないことにしましょう」「広い心で受け止めたらどうか」
「もっと大切な将来の生活があるでしょ」
(「加害者擁護や被害者非難につながる発言」「二次被害につながる安易な解決の促し」)