毎年7月の第一日曜日、米沢教会では殉教祭が行われます。7月1日は福者ペトロ岐部司祭と187殉教者の記念日ですが、188名の殉教者のうち、ルイス甘糟右衛門をはじめとする53名が米沢で殉教したことを記念するのです。通常は主に山形県内の教会から大勢の信徒が集まってミサと巡礼が行われますが、今年はコロナ禍のため米沢と長井の教会から、約20名ほどの参加となりました。
米沢教会は城下町、米沢の中心地に位置しており、米沢で殉教した人々も教会の目の前の小道を刑場である北山原へ歩いて行ったと言われています。53名は皆、米沢藩に仕えた人々とその家族で、全員が斬首によって殉教しました。
この人々の中に司祭や修道者はおらず、自分たちで信徒共同体を組織し、教えを生き、伝え、洗礼を授け、慈善の業に励んで生きた人たちでした。皆、地域の人々から尊敬され、殉教した人のうち一人も牢に入れられた者はなく、処刑当日に役人が家まで迎えに来たということです。殉教者の一人、西堀式部は刑場で、ハンセン病患者に持参した金子を差し上げるよう家来に命じたとのこと。慈善の業を最後まで行いました。刑場で役人は見物人に向かって、「ここで死ぬ者は信仰のために生命を捨てる身分の高い人であるからみんな土下座するように」と命じたとのことです。その愛の行いによって信仰を証しし、殉教していったルイス甘糟右衛門と52名の殉教者に倣って日々の生活を生きていく事ができますように。